「どう見てもアレ」なしましまベスト / いとしい手づくり

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「どう見てもアレ」な、しましまベスト。

母は高校の家政科の出身で、なんでも作る人でした。絵本で見たドレス、ロングコートをアレンジしたケープマント、イニシャル入りのベスト、ちょうちょ柄の浴衣などなど、小さいころの写真の私は、だいたい母の手づくりの服を着ていました。

同じ生地で仕立てた、母のスカートと私のワンピース。小物まで赤でしっかりリンク。

中でも得意だったのが編み物。機械編みを習いに行って、製図を覚えたそうです。母が編み機のハンドル(キャリッジというみたいですね)を左右に動かすたびに、ジーッジーッという音がしていたのをよく覚えています。

母の編み物コレクション。小柄な母(身長145㎝)は、自分サイズに合わせて作れるのが編み物のいいところだそう。

今も母は編み物は好きで、古いセーターをほどいてはよく編み直しています。えんじと白の毛糸で編んだセーターがすごく素敵だったので、先日実家に帰ったときに譲ってもらおうと思ったら、「もうほどいてしまったわ」とあっさり言われました。編めない私からすると、一度編んだセーターをそんな簡単にほどくなんて……!と信じられない気持ちです。
あと、細かいアレンジやメンテナンスもお手のもの。この前は衿の部分だけ色が違うセーターを着ていたので聞いてみたところ「クルーネックが寒かったから、衿だけちょっとだけ編み足した」そうです。編めるってすごいですね。

鬼太郎のちゃんちゃんこすぎるベスト。本人はまったく意識していなかったそうですが、ボタンまで赤という偶然(本家は赤いひも)。

私が高校生のころは、一緒にマフラーを編みました。私は結局まっすぐ編むことしかできず、最後の始末やフリンジはすべて母にしてもらいましたが下手なりにも愛着があり、長く使って今も大事にとっています。
80歳を超えた今も、私や息子(孫)にいろいろと編んでくれる母。昨年はベストを編んでくれました。でも私にくれたベストは黄色と黒のしましまで、着てみるとどう見ても『ゲゲゲの鬼太郎』のちゃんちゃんこ。あったかいんですけどね。もっぱら家の中で愛用していますが、最近は「一周まわって有りなのでは……?」という気がしないでもないです。

コピーライター/ライター 金輪際セメ子

奈良県出身。家事と料理がとにかく苦手な1児の母。好きなものは鹿ときのこ(見るのも食べるのも)。ビールがあればだいたいしあわせ。

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